この記事の3行サマリー

  • WOOP(ウープ)の法則は、願望・結果・障害・計画の4ステップで、目標が続かない原因を先に見つけて手を打つ手法です
  • ポイントは、うまくいく姿だけでなく「自分の中の障害」を具体的に考え、「もし〜なら、〜する」という計画に落とすことです
  • 人事評価の目標管理シートに組み込むと、目標が「書いて終わり」になるのを防げます

「目標を立てても続かない」「期の終わりに振り返ると、ほとんど進んでいない」——この悩みに、心理学の研究から生まれた答えがあります。それが WOOPの法則 です。

WOOPの法則とは

WOOPの法則とは、ニューヨーク大学などで研究するガブリエル・エッティンゲン(Gabriele Oettingen)教授が提唱した、目標を実行につなげるための手法です。読み方は「ウープ」。次の4つの頭文字をとっています。

頭文字 英語 意味
W Wish 願望:かなえたいこと
O Outcome 結果:かなったときの、いちばんよい状態
O Obstacle 障害:実現を邪魔する、自分の中の原因
P Plan 計画:障害が起きたときにどうするか

目標設定の多くは「願望を決めて、計画を立てる」という流れです。WOOPが違うのは、その間に「障害」を置く点です。うまくいく姿を思い描いたあとで、「何が邪魔をするか」を具体的に考えます。研究では、運動の量が増えるなどの結果が報告されています。

WOOPの4ステップのやり方

ステップ1:願望(Wish)を決める

挑戦しがいがあり、現実的に取り組めるものを選びます。大きすぎず、小さすぎない願望が向いています。

ステップ2:結果(Outcome)を思い描く

願望がかなったとき、いちばんよい状態を具体的に思い浮かべます。「何が変わるか」「どんな気持ちになるか」を、1つ選んで言葉にします。

ステップ3:障害(Obstacle)を見つける

ここがWOOPの中心です。実現を邪魔するものを考えますが、見つけるのは外の事情ではなく 自分の中にある原因 です。「つい後回しにする」「断れずに時間を取られる」といった、自分の行動や気持ちの癖を挙げます。

ステップ4:計画(Plan)を立てる

障害に対して、「もし〇〇になったら、△△する」という形で行動を決めます。条件と行動をセットにしておくと、その場で迷わず動けます。

具体例:資料づくりの目標にWOOPを使う

営業担当者が「毎週の提案資料を、月曜の午前中に仕上げる」という目標を立てる場合の例です。

  • 願望:毎週の提案資料を、月曜の午前中に仕上げたい
  • 結果:午後は顧客との打ち合わせに集中でき、準備不足で焦らなくなる
  • 障害:月曜の朝、メールの返信を先にしてしまい、資料に手がつかない
  • 計画:もし月曜の朝にメールを開きたくなったら、先に資料の見出しだけ書いてから開く

目標を「午前中に仕上げる」とだけ決めた場合と比べて、何が実行を止めるのか、そのときどうするのかが決まっています。

人事評価の目標管理にWOOPを取り入れる

人事評価の目標管理シートに組み込む手順は、次の3ステップです。

  1. 伸ばしたい能力を選ぶ(願望と結果)
  2. できない理由・障壁をはっきりさせる(障害)
  3. 解決策と、具体的な行動目標を書く(計画)

このうち3つめは、行動目標を「毎日・毎週できる」「評価者が確認できる」形に書くことが大切です。書き方は具体的な行動目標の書き方3つのポイントで、シートの組み立ては目標管理シートの3ステップで解説しています。

よくある質問

Q. ポジティブ思考とは何が違いますか? A. うまくいく姿を思い描くだけで終わらせず、障害を具体的に考えて計画に落とす点が違います。うまくいく姿だけを思い描くと、かえって努力が減ることがある、という研究もあります。

Q. 障害は外の事情ではだめですか? A. 外の事情は自分では変えられません。WOOPでは、自分の行動や気持ちの癖など、自分で手を打てる原因を挙げます。

Q. どんな目標にも使えますか? A. 願望が現実に取り組める範囲にあることが前提です。取り組めそうにない大きすぎる願望は、いったん分けて、取り組める願望から始めます。

まとめ

目標設定の場面にWOOPを取り入れると、「何が邪魔をするか」と「そのときどうするか」を先に決められます。 次回の目標設定面談から、1つの目標で試してみてください。